乳がんの放射線治療についてまとめます
乳がんの治療の流れ
まずは検診(エコー、マンモグラフィーなど)で怪しい箇所があれば、専門医へ紹介されます。専門医の診察後、造影CT、細胞診、造影MRIなどの検査を行います。各種の検査を踏まえて、乳がんの腫瘤・リンパ節転移がわかれば、それに対してFNA(fine niddle aspiration)を施行し、病理検査を行います。一言に乳がんと言っても様々なタイプの組織像が存在するので、病理検査が重要となります。その際に、ホルモン感受性や遺伝子型も確認することができます。乳がんの病期に応じて抗がん剤やホルモンを決定する材料となります。
乳がんの根本的治療は外科的手術です。病期・ステージに応じて、抗がん剤を手術前後に導入する場合もあります。術後再発予防のために放射線治療をする場合があります。特に乳房温存手術をされた場合は必要となります。乳房内の乳腺組織において今後再発する可能性があるため照射を行います。乳がんに対して根治的な放射線治療ではないことを確認しておきましょう。
乳がんの放射線治療は病態によって変わりますが、日本では50Gy/25回もしくは42.56Gy/16回が主流です。50歳以下であれば、10Gy/5回の追加照射をする施設もあります。近年では寡分割照射の研究が進んでいるが、日本の放射線治療はまだまだ(したくても)適応できない状況です。
副作用について 放射線治療における副作用は急性期症状と晩期症状があります。乳がんの場合は主に急性期症状であるのが、放射線宿酔、放射線皮膚炎です。晩期症状は、放射線肺臓炎です。
生命保険について 放射線治療をすることで保険がもらえる契約になっている方がおられます。その際には「線量」について是非、事前に生命保険会社に確認をしておきましょう。最近入った保険であれば、1回でも照射すればもらえる保険が出てきているようですが、古いタイプの保険では「50Gy」以上でなければ保険が出ないこともあります。そのため、病態によっては42.56Gy/16回の照射で良いのだが、保険の都合上50Gy/25回を選ぶこともあります。保険の有無に関わらず、早めに終わる42.56Gy/16回を選択される方もいらっしゃいます。現在のlife styleに合わせて選ぶことも1つだと説明しています。