頭頸部がん

頭頸部がんの放射線治療についてまとめていきます。

頭頸部がんは鼻腔、咽頭、喉頭など範囲は多彩であり、手術、抗がん剤、放射線治療で根治可能な病期もあるため、選択肢は多い。しかし、副作用がQOLに直結していることもあり、患者さんからすればかなりの負担となる。

放射線治療における代表的な副作用は、口腔粘膜炎、唾液分泌低下、味覚障害である。口腔粘膜炎は照射後1ヶ月程度で改善するが、唾液分泌低下、味覚障害はかなり長い期間改善しない。個人差はあるが、完全に回復しない場合もある。

放射線治療の方法としては従来の3D-CRTとIMRTがある。IMRTは各種重要臓器に放射線が当たりすぎないように最適化しながら照射範囲、強度を決定していく方法である。そのため副作用は少なくなる可能性が高くなるが、実際には少なからず正常臓器にも放射線が入るため、ある程度の副作用は出現する。また、両者の方法で治療成績、生存率に優位差はない。そのことから、リンパ節転移がない場合、片側である場合は3D-CRTで照射することもある。リンパ節転移が両側であったり、眼球が近い場合などはIMRTが有用である。近年では各放射線治療施設でもIMRTが可能となってきているので、施設の状況を確認することも重要。副作用については過度の期待は禁物である。